マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本セクター

モロッコ

アソシエーション 社会問題に対する市民の回答

モロッコはイスラム教国ですが、諸宗教間の対話への歩みはとても進んでいます。2007年10月、イスラム教徒とカトリック教徒の間の対話推進を目標とするイスラム・カトリック・フォーラムの設立が発表されました。この方向性に沿って「アソシエーション〜社会問題に対する市民の応答〜」のフォーラムが、2008年3月モロッコ北部の小さな町マルティルの教会にあるレルシュンディ文化センターで行われました。

このセンターはマルティル唯一の大学レベルの図書館で、すでに使用されていない教会の中にあります。この図書館はすべての人々に開かれ、ずっと以前からモロッコの青年たち、サハラ以南の国々からの大学生を援助しています。レルシュンディ・センターでは語学コース、多種各レベルの学生の勉学指導、特に高校・大学の青年を対象としています。
かつて教会であった同じ建物の一部はFMMが指導している女性養成学校です。私たちFMMは、文化センターでスペイン語コースも受け持ち、その他センターの種々の文化社会活動にも協力しています。
アソシエーションについてのフォーラムは、一年を通して行われた社会問題についての一連の集会の一部であり、スペインからも援助を受けています。種々のアソシエーションは社会問題を解決するための、市民参加の重要な形と考えられ進められてきました。次のアソシエーションが各々そのプロジェクトと種々の活動のプロセス、問題点などをラウンド・テーブルで発表しました:APISF危険な状況の未成年について、 ATIL 勉学放棄について、NOUR 知的麻痺の子どもたちについて、AMAL・AL・ATFALは捨てられた子どもたちについて。

女性問題については、ナディア・ナイル教授(女性)がモロッコにおける女性のためのアソシエーションについて非常に興味深い歴史的考察を発表しました。40年前から北部に存在するアソシエーションは密かに女性の地位改善のために活動してきたのです。80年代になると、女性の自立を目指した健康管理と母親教育に力を入れた、もっと組織立った活動になりました。2002年女性たちのアソシエーションは一致協力して、女性たちのリストを議会に提出しました。
それは大きな成功であったとナディア教授は強調しました。この国の女性たちの長い闘いの実りであるこのアソシエーション活動は、法律改正に決定的な影響を与えたのです。特に家族に関する法律「ムダワヤ」の改定はそうでした。女性への暴力という困難の中でも連帯計画をもって活動は続けられています。  種々のアソシエーションは活発に話し合い、体験を分かち合い、非常にくつろいだ雰囲気の中で一日が過ぎていきました。フォーラムは聴いていた人々にもつながっていくように呼びかけ、輪を広げていくために、このような会合を定期的に持つようにと勧めました。最後にセンターの所長さんは感謝を伝えつつ「レシュンディ文化センターの活動は、大海の一滴に過ぎなくとも、利害を考えず、愛と自由、人間の尊厳という価値に動機づけられている人々によるものである。」と強調されました。

以前「神の家」だったマルティルの教会は、「すべての子らの家」になり、イスラム教徒もキリスト教徒も、不可知論者も無神論者も、どの大陸からの人も、そこに来る人はいつも歓迎されます。イスラムの国のこの教会では直接的宣教はできないのですが、生活の中でのシンプルな対話を通して、他宗教の人々と協力していくという新しい宣教の仕方で歩んでいます。このアソシエーションのフォーラムの機会が霊の導きによって豊かなものとなり、それぞれの信仰への敬意をのうちに美しい花を咲かせることができたことを神に感謝しています。「神への愛、隣人への愛」と「人間の尊厳と相互尊敬」を生きるように導くのは、同じ霊だからです。すべての人が望んでいる平和をつくる者となっていけますように。

マリア グアダルぺ リヴァスfmm